無色の唄
エイミー・ベンダー/菅啓次郎 訳 っぽく
*多少性的な描写あり
祖母の家には、大きな蔵があった。
祖父が建築業を営んでいた名残で、5歳の私をすっぽりと覆い隠してくれた。暗く湿った空気は、熟れて落ちたアプリコットに似た、甘い匂いがした。何時間でも中にいて、ホコリまみれ私を、ママは叱った。
初めての恋人、ダンと彼の家のガレージでおまんこした。私達は犬みたいに中古のワーゲンに伏し、せっせ、せっせと私のおまんこを、私の乳首と同じ硬さのおちんちんで、いっぱいにした。
今、私の家には、比較的大きめのクローゼットがある。フランス製の年代物で、良く熱したカラメル色をしている。その中で、夫のジョンと抱き合うのが好きだ。彼の唇が輪郭を撫で、まさぐり、入ってくる。湿度と音の箱庭で、私は空気に溶けていき、扉に彫られた天使のレリーフと同化する。左右2体天使は、皆盲目で、何かを囁いている。
朝、食事を終え、ガーデニングを始めた。よく手入れされた芝だと、ジョンが褒めるのを聞くと、少しもの寂しくなる。赤いポストの中に、小さな青い花が数本入っていた。勿忘草だった。