赤城雨風と物語の風

バカバカしくて苛烈な純文学創作

四畳半王国見聞録 「蝸牛の角」を整理!

森見登美彦『四畳半王国見聞録』

*読んだことある方を対象に、時系列や場所や人物や団体や各編の繋がりを整理したものです。

*ネタバレアリです。

 

今作は、連作短編集になっていて、『四畳半神話大系』や『新訳走れメロス他4編』などの小説に出てくる団体名や人物が登場してきます。

その為、ただでさえムツカシイ(注意しながら読む)森見登美彦の作品の中でも、かなりムツカシイ部類に入ると思います。ほんとに。

それらを読んだ後の方がニヤニヤしながら読めると思います。

鴨川デルタでも、叡電の中でも、四畳半でも、好きな所で読んでください。

 

『四畳半王国見聞録』は7編からなっています。

目次の順番ですと、

・四畳半王国建国史

・蝸牛の角

・真夏のブリーフ

・大日本凡人會

・四畳半統括委員会

・グッド・バイ

・四畳半王国開国史

となっています。


しかし、各編の繋がりを考慮すると、

・蝸牛の角

・真夏のブリーフ

・四畳半統括委員会

・大日本凡人會

・グッド・バイ

・四畳半王国建国史

・四畳半王国開国史

の順番で読むのが1番理解しやすきかなと。

今回はこの順番でやらせていただきます。悪しからず。

まぁ、好き好きなので参考にしたりしなかったりしてください🙏

 

 

「蝸牛の角」は作中の場所と集団をほぼ網羅してあるので、初めに読むと何となく全体が掴めるので、オススメです✌️

 

7つの世界(場面)からなり、それぞれの世界が連続していて、違う世界の影響を受けてドミノ式に展開して行く仕組みです。

*「蝸牛の角」では、1が1番大きな世界で、7が1番小さな世界です。

 

1.下鴨幽水荘

浴衣の男(樋口)とぬらりひょん的学生と文学青年風学生と黒髪の乙女の学生が阿保神について話し合い、文学青年風の虫歯を治すべく阿保神に電話をする。

 

2.鞍馬山(=文学青年風の虫歯にある)

勉強せねばと思い立った芽野はマンドリン弾きの丹波にだまされ、修行の旅に出て迷子になり、イノシシに出くわす。

 

3.四畳半アパート(=鞍馬山のカタツムリの角の上にある)

図書館警察の小津が忘年会の準備を押し付けられ困っている

 

4.阿保神の祠-哲学の道(=お猪口みたいな小津の顔の淵にある)

法然学生ハイツの屋上にある、四畳半統括委員会が作った祠を、大日本凡人會の面々が参拝し罵倒し、メンバーの一人(丹波)がバイト仲間の乙女と交際しているのを知り、激高。アパートに殴り込みに行くが不在で、夜の哲学の道蛍を歩くが蛍の点滅が見えず、怒りをシュレディンガーの猫にぶつける。

 

5.淀川教授の部屋(=シュレディンガーの猫の額の上にある)

狸大好きな栄養学の教授、淀川の部屋に学生(鈴木)が単位をくれるように嘆願する

 

6.鴨川デルタ(=淀川教授の部屋のヤモリの足裏)

丹波マンドリン辻説法を行っている。

 

7.阿保神の四畳半(=丹波マンドリンに通じている)

太古の昔、男汁が何かの拍子に凝固し四畳半ができた。宇宙に遍在する四畳半は、すべてこの四畳半の影である。テレビを見て、本を読み、卵かけご飯を食べる。

樋口から電話が掛かってくるが突っぱね、阿保ダンスを踊る。

 

6.鴨川デルタ(=淀川教授の部屋ヤモリの足裏)

阿保踊りのリズムがマンドリンに伝わり素晴らしい演奏になり、デルタに座っていた男たちの嗚咽とハーモニーを奏でる。

 

5.淀川教授の部屋(=シュレディンガーの猫の額の上のにある)

マンドリンと嗚咽のハーモニーが、スチールラックに引っ付いていたヤモリの足裏に伝わり淀川教授の肩に落下。ヤモリを取ってあげた学生(鈴木)は、代わりに再試験を受けられ単位を取得。淀川教授の研究室に入り、研究室で出会った美人に良いとこを見せるべく頑張り、仄かな恋の予感が芽生える。

 

4.阿保神の祠-哲学の道(=お猪口みたいな小津の顔の淵にある)

鈴木の学園生活にバラ色の甘い汁が注がれ、猫はその汁に頭を振った。飛び散った汁が降り注ぎ、水面を揺らし、蛍が点滅しだす。それを見た大日本凡人會の面々は怒りをおさめ、罵倒した阿保神に感謝し祭壇を作る。

 

3.四畳半アパート(=鞍馬山のカタツムリの角の上にある)

阿保神の祠の大きさは小津の器の大きさに関係し、小津は忘年会への無理難題をすべて引き受け、わけのわからない規模のどんちゃん騒ぎになり、幹事の小津を探そうにも見つけられない。

 

2.鞍馬山(=文学青年風の虫歯にある)

タツムリは角の上で繰り広げられるどんちゃん騒ぎで笹の葉から滑り落ち、イノシシの鼻にぶつかる。逆上したイノシシから芽野は必死で走り、貴船口まで逃げる。一息ついた芽野は、地道に勉強することを誓い、風の響きを聞きながら胸を爽快な風が通るのを感じる。

 

1.下鴨幽水荘

虫歯に風が通ったと感じると痛みが治まり、ますます阿保神を辛抱するようになる。黒髪の乙女の学生は、「見渡すばかり阿保ばかり」と吐き捨てる。

 

どうでしたか?ドミノ的な展開で、それぞれの世界が丸く収まっていくのは見ていて気持ちがいいですね!

この後も引き続き、「阿呆神」や「詭弁部」や「大日本凡人會」などがキーワードとなって展開して行きます✨

 

微力なりとも、『四畳半王国見聞録』を読むの手助けになりましたら幸いです。

気が向いたら、また他の編も整理しますね〜🙄

乞うご期待!(しないで!笑)