赤城雨風と物語の風

バカバカしくて苛烈な純文学創作

2019-01-01から1年間の記事一覧

ウソツキのイノチ

私は、ウソツキです。強さを持ちえませんでした。着飾り、笑みを浮かべ、荒野に身を投げられませんでした。 わかってほしいのです。私は、怖かった。怖いのです。何もかもが怖いのです。自分もあなたにも、路傍の石にさえ胸が詰まるのです。町なかで赤毛のむ…

死にたい季節に

美しい冬の彼女に。 17歳の私は、死にたかった。 不幸なことに、友人も家族も勉強も運動も大過なくこなせた。 お金も人付き合いも勉強も大切だと知っていた。 だからこそ、死にたかった。 感情を分からず持ち合わせず。 だから、学んだ。勉強、勉強。 ただた…

四畳半王国見聞録 「蝸牛の角」を整理!

森見登美彦『四畳半王国見聞録』 *読んだことある方を対象に、時系列や場所や人物や団体や各編の繋がりを整理したものです。 *ネタバレアリです。 今作は、連作短編集になっていて、『四畳半神話大系』や『新訳走れメロス他4編』などの小説に出てくる団体…

路傍の草

*詩歌や童話を意識しました。 花の少女と雑草の木こり。 二人は村に暮らしてた。 ああ、カワイソウ。 木こりは、キライ。 粗野で、粗暴で、粗相モノ。 ロクデナシだと、噂され。 ああ、カワイイ。 少女は、キレイ。 華奢なカラダに、豪華なドレス。 銀雫に…

無色の唄

エイミー・ベンダー/菅啓次郎 訳 っぽく *多少性的な描写あり 祖母の家には、大きな蔵があった。 祖父が建築業を営んでいた名残で、5歳の私をすっぽりと覆い隠してくれた。暗く湿った空気は、熟れて落ちたアプリコットに似た、甘い匂いがした。何時間でも中…

「ドクショカ」

諸君! 今日は忙しい中、私の「ノーベル生物学賞受賞記念講演会」に来てくれてありがとう。このような機会に恵まれ、身に余る光栄だ。今回のことは、私にとっても、寝耳に水どころの騒ぎでは無かった。まさかとは思うが、私がノーベル生物学賞を受賞すると予…